いきものいろいろ

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農耕をするアリ

[原題] Obligate plant farming by a specialized ant 

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 Squamellaria属の種子を運ぶ Philidris nagasaunewscientist.comより引用]

 

 ドイツの研究者が,農耕を行うアリを発見したという記事.これまで,ハキリアリやキクイムシなどでは菌類を食用に栽培することが知られていましたが,植物の栽培についてはこれまで知見がなかったとの事です.いわゆる,既知のアリ植物とアリ間の関係とも違うとのこと.

 

 

 Guillaume ChomickiとSusanne Rennerは,フィジー島のPhilidris nagasauというアリが少なくとも6種のSquamellaria属植物を栽培していることを明らかにしています.

 このアリは,Squamellaria属植物の種子を実生より直接採種し,寄主の幹の割れ目などに挿入し,自らのその場で排泄を行うことで栄養を供給しているようです.植物は小室を形成することでアリに対して営巣のための空間を提供しているとのこと.

 

https://d1o50x50snmhul.cloudfront.net/wp-content/uploads/2016/11/21114258/2nd_plants-growing-out-of-tree-branch-800x533.jpg

 Squamellaria属植物newscientist.comより引用]

 

 一見,これまでのアリ植物とアリ間の共生と同じであるような印象を受けますが,これまでの共生関係と違い,Squamellaria属植物Philidris nagasauの間では絶対的な共生関係が成立しており,互いの種無しでは生存ができないらしいと言った点で,既知の関係とは違っているとのこと.

 著者はこの,能動的な播種行動と栄養源の供給行為を栽培行為であると言っているようです.

 

 

 

 翅を落としたハチであるアリ類は,特に多くの昆虫類との共生関係にあることが知られていますが,よく知られるアリノスダマや今回のSquamellaria属などの植物との共生関係も非常に面白いものがあります.アリ植物のほとんどは,その居所を地上から樹上に移した着生類であり,だからこそこういった奇妙な共生が成り立つのかもしれません.世界には,もっと不思議な生態を持ったアリがいるのではないかと心が弾みます.

 

 

◯●文献●◯

 Guillaume Chomicki and Susanne S. Renner (2016) Obligate plant farming by a pecialized ant. Nature Plants

www.nature.com